二月小世界集成

ここから何か拾い上げることが出来るなら、ぼくも少しは浮かばれます

13/8拍子と残響音

吾輩はバンドマンである。CDはいくつかあるが流通は(まだ?)ない。
大学時代は軽音楽部に入り浸った阿呆学生であり、それ以後もまだ音楽を手慰みにしては身内のライブへ顔を出し、といった具合に二十代の青い春は通り過ぎていった。

いわゆるアマチュアミュージシャンの端くれで、自主制作CDを二枚三枚くらい作っては音楽仲間に押し付けたり、懇意のリハスタジオに置かせてもらったり(そうして数年間、埃を被ったままカウンターに放置されることとなる)、またはしこしこ音源を制作してはネットに投稿するなどしていた。

さて、以下は近況のまとめと、ありきたりながら今年の抱負である。

活動した主なバンド

全て札幌界隈で活動したりしてました。どれも無名バンドだろうが、忘れられゆく名前をネットに書き込んでおくことは意外にも重要であることのように思える。

nicola[ニコラ]
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二十歳になるくらいに組んだバンド。ベースと歌をやった。暇な大学生が抱える日々の憂鬱とか、暗い夜をやり過ごすためのいくつかの技法についての話。
その頃からthe cabsにクレイジーしてた僕は同じような趣味を持つ同期のギターエフェクター怪人を捕まえてバンドの企てをはじめた。後輩の時雨好きドラマーを共犯者に仕立て上げ、スリーピースバンドはそうして駆動し始めることになった。
行ったライブはだいたいアレな感じだったが、定山渓の謎ホテルで謎ライブをしたり、スピリチュアルラウンジで自主企画したり、サークル行きつけのライブハウスを爆音で出禁になったりと、最初のオリジナルだけにそれなりの思い出がある。
このバンドで作曲した絶滅という曲はサビが13/8の変拍子だったりと、色々と凝っていた。これ以降、やる曲は変拍子と残響系ポストロックの重力圏から離れられなくなっていく。

timestops[タイムストップス]
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上記のニコラをやってる頃、競い合うようにライブをしていたバンドが一つあり、そこのギターボーカルのムラマツと別のオリジナルバンドをやろうぜ、という話がでた。リードの爽やかな奇人ニッタ君を引き入れ、後輩のモリモトを半ば強制的にドラムとしてバンドへと引き込んで組んだのがtimestops。
nicolaの時にはthe cabsくらいしかバンドを知らなかった僕が、エモ・ポストロックバンドを掘り下げて多くの素晴らしいバンドに出会ったのと時を同じくして、一つ下の学年だったムラマツと意気投合し、かくしてポストロックの金字塔たるバンドの美しい楽曲の名前がここに与えられた。
色々ライブをやった中で、割と普通のロックができたな、という印象がある。とにかく勢いと、程よい自由さがこのバンドの特徴で、個々人のプレイが一曲のイメージと重なり合い、結合した懐の広い音楽空間があった。

海の温度[うみのおんど]
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nicolaエフェクター怪人コダイラ君と、同期のギタリスト・ドラマーを加えた四人バンド。シューゲみたいな音像の曲がメイン(?)。和製シューゲイザーの潮流を汲みながら、Syrup16gやUremaのようなベースを弾きたいと思っている。とは言いつつ、バンドイメージとしての共通解はPeople in the boxだったりするかもしれない。
最近のバンドラインは近況報告と半同窓会的になっているよう。

屈辱と春[くつじょくとはる]
音源はまだなし。
軽音サークルのY先輩と最近組んだバンド。このバンドから僕はギターで参戦を始めた。色々方向性を模索しつつ、近頃はようやく軌道に乗ってきた感じ。ドラムのソウイチロウ氏がマジで詩人的感性の持ち主なので是非ライブをしたい。
ブッチャーズみたいなサウンド町田康みたいなことをやりたいね、みたいな方向性だったと思う。なんだそれは。キマったら最高だろう。

Galatea2.0[ガラテアニーテンゼロ]
timestopsのニッタ君が遠くに就職していった後、札幌に残ったメンバーが集まってスタジオ入ろうぜ、ということになった。
その際、メンバーが足りないのでどっかから駆り出してこようという流れになり、白羽の矢が立ったのはサークルのさらに後輩のベーシスト・シンジ君。足りないメンツは後輩の中から無理矢理引っ張ってくるものであるという謎の伝統芸能。というわけで、僕はベースからギタボへと役割を変え、新規バンドとして活動し始めた。
ポストコロナ時代のインディーバンド最前線へ一番乗り決めたいね。

これから

今年度から僕はようやっと大学から脱出し、社会人となったことにより、趣味に充てる資金が増えた。おかげでガラテアが動き出した秋頃から、ギター機材が充実していっている。
なんか機材レビューとか、音楽の話とか、バンドのモチーフである小説の話とか、色々書き残しておきたいと思う。

これを見る者が幸いでありますように。
ここはthe cabsとmice paradeとAmerican footballとradioheadと、リチャード・パワーズ円城塔山尾悠子とPKDと、教会とギリシャ神話と一九世紀末芸術と地球惑星科学をそれら全てひっくるめてつらつらと語ったりする、この世で唯一の場所であるかもしれない。

ではまた。